孫綽4 孫綽と支遁
文字数 673文字
過去の賢人偉人について評論する。
それを聞く
関わりのない人の話ではあったのだが、
聴き終わると、言う。
「お二方は、なるほど。
才能も詩情も深くお備えのようだ」
恐らくは
論談をかわすことになった。
観客は孫綽や
この時、支遁はどうにも
うまく論を構築しきれない。
小さくまとまりがちに
なってしまっていた。
その様子を見て、孫綽は言う。
「法師の今日の様子は、あれだな。
ぼろぼろの綿入りの着物で
いばらの中に
突っ込まれたかのようだ。
あちらこちらで引っ掛かっておられる」
孫興公、許玄度共在白樓亭,共商略先往名達。林公既非所關,聽訖云:「二賢故自有才情。」
孫興公、許玄度は共に白樓亭に在り、共に先往の名達を商略す。林公は既にも關わる所に非ざれど、聽き訖えて云えらく:「二賢には故より自ら才情有り」と。
(賞譽119)
王文度在西州,與林法師講,韓、孫諸人並在坐。林公理每欲小屈,孫興公曰:「法師今日如著弊絮在荊棘中,觸地挂閡。」
王文度の西州に在すに、林法師と講ず。韓、孫ら諸人は並べて坐に在り。林公が理は每に小しく屈せんと欲し、孫興公は曰く:「法師が今日は弊絮を著け荊棘中に在し、地に觸れ挂閡したるが如し」と
(排調52)
この二つは、変にこの二つだけで語るべきじゃない感じはしますね。支遁と孫綽とが交した、数多なすやり取りの一幕的な感じでとらえるのが正しそう。たくさんのやり取りの中じゃ、アゲにもなるだろうしサゲにもなる。それにしても孫綽が残してる比喩の面白いこと面白いこと。