元帝3  詔勅パンチ

文字数 815文字

元帝(げんてい)さま、西堂で宴を開く。
ほろ酔い加減の時に聞いた。

「これだけの名臣が集っているのだ。
 (ぎょう)(しゅん)の時代の顕現も近かろう」

これにすかさず大声でツッコむのが、
当時尚書僕射となっていた周顗(しゅうぎ)である。

「あぁええ、陛下は尭舜レベルです。
 けど陛下、こんな琉遇の身にあって、
 なんであの理想の時代と
 較べられるんですか」

ちょっとしたリップサービスだってのにね。
元帝さまガンギレですよ。
どんだけキレたかって、執務室に戻って
詔勅を書く黄色い紙いっぱいに

「周顗ぶっ○す」

って書き連ねたくらい。
アレがアレでも、まぁ詔勅ですので
廷尉は周顗さんを連行しました。

とは言え、数日後には
詔が別に出て、釈放。
みんなが周顗を見舞う。
すると周顗は言った。

「死にゃしないとは思ってましたよ。
 あんなんで死罪とか、
 どこの暴君ですかって話じゃないですか」



明帝在西堂、會諸公飲酒。未大醉、帝問「今名臣共集、何如堯舜時?」周伯仁為僕射、因厲聲曰「今雖同人主、復那得等於聖治?」帝大怒、還內作手詔、滿一黃紙。遂付廷尉、令收因欲殺之。後數日、詔出周。群臣往省之。周曰「近知當不死罪不足至此。」

明帝は西堂に在りて諸公と會し酒を飲む。未だ大いに醉わざるに、帝は問うらく「今の名臣の共に集まれるに、堯舜とでは何如?」と。時に周伯仁は僕射と為り、因りて聲を厲として曰く「今、人主を同じうせると雖も、復た那んぞ聖治にては等しきを得たらんか」と。帝は大いに怒り、內に還りて手ずから一なる黃紙に滿つる詔を作し、遂には廷尉に付さしめんとし、令し收め因りて之を殺さしめんと欲す。後に數日して詔せるに、周は出で、群臣は往きて之を省る。周は曰く「近ぼ當に死なざるべしと知る、罪は此れに至るに足らざれり」と。

(方正30)



原文だと明帝なのだが、明帝が即位した頃には、とっくに周顗は王敦に殺されてる。なので、さすがにこれは書き間違いだろ、とツッコミが入ってる。確かにこれが明帝のエピソードならキャラ崩壊著しいわ。
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