第184話 復活のコロンバ(2)
文字数 1,717文字
蛇からは、時々、人を呪うように頼まれる事もある。クライアントから呪いを依頼される事もあったが、それはかなりの念や力も使うので、最近は断っていたが。
蛇に頼まれたのは、福音ベーカリーというパン屋の店主・橋本瑠偉についてだった。この男は知っている。前にも蛇に呪うように頼まれたが、うまくいかず、顧客の絵名はパン屋もやっていたので、潰すように命令はしていた。残念ながら、呪いもうまくいかず、絵名もこうして撤退してしまっている。
まず、呪いは自分の体から霊だけ抜けて、対象に攻撃しにいく。いわゆる幽体離脱をして行う。その方法なども蛇に全部教えては貰ったが、何より体力もメンタルもゴリゴリ減らされる。それに瑠偉は普通の人間と違い、霊的なバリアは完璧に作られていて、安易に近づけない。彼の周りには、一子でも見た事ないような清い霊が火のように燃えていて近づけなかった。
蛇の命令通り、再び瑠偉に呪いをかけようとしたが、全く上手くいかなかった。
「蛇、どうい事なの? そもそも何で瑠偉をに呪いたいの?」
逃げ帰って来た一子は、蛇を呼び出して、泣きついた。その姿は親に泣きつくような子供のようだったが、本人はなりふり構っていられない。蛇に命令を聞きながらも、彼を喜ばせたいという忠誠心みたいなものもあった。見えない存在は決して優しくは無いのに、子供のように純粋に喜んで貰いたい気持ちがあったりした。
『瑠偉、あの男はてん、いやクリスチャンだからな。是非とも潰したのだよ』
何故か見えない存在は、クリスチャンやキリスト教に憎しみを持っている者は多かった。あそこで語られる神は、愚図でしょうもない存在で、自分たちが変わりに神になると言っているものもいた。仏教やイスラム教、八百万の神については好意的なのに、何故か嫌っていた。一子も蛇に命令されて、聖書の教えがいかに排他的で時代遅れという動画をつくった事がある。
「でも、何で? 何でそんなにキリスト教の神やクリスチャンを憎んでいるの? 教えてよ」
『うるさい!』
蛇には、一子の質問には答えず、首に巻きつき、締め付けてきた。見えない存在で、肉体的には全く苦しくないが、心は縄で縛られているように苦しくなってきた。
蛇から解放された一子は、瑠偉がやっているパン屋・福音ベーカリーに直接行こうと考えていた。瑠偉の霊的な状況をこの目で見れば、何かヒントがあるのではないだろうか。仕事は立て込んでいたが、どうにか時間を作り、明後日に福音ベーカリーに行く事にした。
その前に、軽くキリスト教の事についても調べてみた。ネットで検索しただけだったが、何故か強い頭痛を感じた。
何か霊的に仕掛けられていそうだったが、一子でも感知する事が出来ない。陰謀論系のサイトも都合の悪い情報は霊的な仕掛けがあるらしく、一子もそんな仕事をやった事がある。霊を感知出来ない一般人は、全く意味がわからない話だと思うが。
一子は頭痛を抑えながらも、動画サイトでキリスト教関連のものを検索する。偶然だが、おすすめに元占い師で牧師になった女性の動画が出てきた。
その動画にとよると、占いもスピリチュアルも聖書で禁じられている事で、一刻も早く辞めるよう訴えていた。
「スピリチュアルの裏には、悪霊という目に見えない存在がいるんです。確かに願いは叶えてくれますが、最後は滅びに向かわせます。聖書にそう書いてますから。だからクリスチャンの占い師なんて一人もいないんですよ」
牧師の声を聞きながら、さらに頭痛と吐き気うぃ覚えた。牧師が言う事が本当なら、自分が今まで契約してきた存在は悪霊?
いつも助けてくれて、願いも叶えてくれたので、そうは見えないのだが。しかし、キリスト教的な概念とスピリチュアルが対立している事は理解できた。蛇がしつこくクリスチャンである瑠偉をターゲットにしているのも、対立していると思うと、筋は通る。まさか宗教の一つとスピリチュアルが対立していたとは、想像もしていなかったが。
だとすると、瑠偉の周りで燃えていた清い霊ってなんだろうか。検索して調べようとしたが再び強い頭痛と吐き気が襲う。これ以上パソコンをいじる事もできなくなってしまった。
蛇に頼まれたのは、福音ベーカリーというパン屋の店主・橋本瑠偉についてだった。この男は知っている。前にも蛇に呪うように頼まれたが、うまくいかず、顧客の絵名はパン屋もやっていたので、潰すように命令はしていた。残念ながら、呪いもうまくいかず、絵名もこうして撤退してしまっている。
まず、呪いは自分の体から霊だけ抜けて、対象に攻撃しにいく。いわゆる幽体離脱をして行う。その方法なども蛇に全部教えては貰ったが、何より体力もメンタルもゴリゴリ減らされる。それに瑠偉は普通の人間と違い、霊的なバリアは完璧に作られていて、安易に近づけない。彼の周りには、一子でも見た事ないような清い霊が火のように燃えていて近づけなかった。
蛇の命令通り、再び瑠偉に呪いをかけようとしたが、全く上手くいかなかった。
「蛇、どうい事なの? そもそも何で瑠偉をに呪いたいの?」
逃げ帰って来た一子は、蛇を呼び出して、泣きついた。その姿は親に泣きつくような子供のようだったが、本人はなりふり構っていられない。蛇に命令を聞きながらも、彼を喜ばせたいという忠誠心みたいなものもあった。見えない存在は決して優しくは無いのに、子供のように純粋に喜んで貰いたい気持ちがあったりした。
『瑠偉、あの男はてん、いやクリスチャンだからな。是非とも潰したのだよ』
何故か見えない存在は、クリスチャンやキリスト教に憎しみを持っている者は多かった。あそこで語られる神は、愚図でしょうもない存在で、自分たちが変わりに神になると言っているものもいた。仏教やイスラム教、八百万の神については好意的なのに、何故か嫌っていた。一子も蛇に命令されて、聖書の教えがいかに排他的で時代遅れという動画をつくった事がある。
「でも、何で? 何でそんなにキリスト教の神やクリスチャンを憎んでいるの? 教えてよ」
『うるさい!』
蛇には、一子の質問には答えず、首に巻きつき、締め付けてきた。見えない存在で、肉体的には全く苦しくないが、心は縄で縛られているように苦しくなってきた。
蛇から解放された一子は、瑠偉がやっているパン屋・福音ベーカリーに直接行こうと考えていた。瑠偉の霊的な状況をこの目で見れば、何かヒントがあるのではないだろうか。仕事は立て込んでいたが、どうにか時間を作り、明後日に福音ベーカリーに行く事にした。
その前に、軽くキリスト教の事についても調べてみた。ネットで検索しただけだったが、何故か強い頭痛を感じた。
何か霊的に仕掛けられていそうだったが、一子でも感知する事が出来ない。陰謀論系のサイトも都合の悪い情報は霊的な仕掛けがあるらしく、一子もそんな仕事をやった事がある。霊を感知出来ない一般人は、全く意味がわからない話だと思うが。
一子は頭痛を抑えながらも、動画サイトでキリスト教関連のものを検索する。偶然だが、おすすめに元占い師で牧師になった女性の動画が出てきた。
その動画にとよると、占いもスピリチュアルも聖書で禁じられている事で、一刻も早く辞めるよう訴えていた。
「スピリチュアルの裏には、悪霊という目に見えない存在がいるんです。確かに願いは叶えてくれますが、最後は滅びに向かわせます。聖書にそう書いてますから。だからクリスチャンの占い師なんて一人もいないんですよ」
牧師の声を聞きながら、さらに頭痛と吐き気うぃ覚えた。牧師が言う事が本当なら、自分が今まで契約してきた存在は悪霊?
いつも助けてくれて、願いも叶えてくれたので、そうは見えないのだが。しかし、キリスト教的な概念とスピリチュアルが対立している事は理解できた。蛇がしつこくクリスチャンである瑠偉をターゲットにしているのも、対立していると思うと、筋は通る。まさか宗教の一つとスピリチュアルが対立していたとは、想像もしていなかったが。
だとすると、瑠偉の周りで燃えていた清い霊ってなんだろうか。検索して調べようとしたが再び強い頭痛と吐き気が襲う。これ以上パソコンをいじる事もできなくなってしまった。