第149話 焼き餅と土に埋めたタラント(3)
文字数 1,163文字
「部長、何やってるんですか?」
希衣のSNSを見ながら、顔を青くしていたら、後輩の黒木里帆が入ってきた。典型的なヲタク女子で、部活の熱心に参加していたが、最近はあまり顔を出さなくなっていた。
「部長、聖書読んでるんですか?」
「え、ええ。一応私もクリスチャンだったし」
「そうですか、私もですよ」
里帆はそう言うと、希衣の隣に座り、聖書を覗き込んできた。
「あー、タラントの例え話ですね。持っているものは、ますます与えられら、そうじゃないない者は持ってないものまで取り上げられるって怖いですねー」
わざとらしく里帆は、身体を震わせていた。なぜか、里帆には、自分の今の状況を話してしまっていた。
「えー、嫉妬? 部長が? クールビューティっぽいのに、そうは見えませんよ」
「うーん、実は私、すごい嫉妬深かった。SNSにも悪口に賛同しちゃったり、一方的にジェラシー募らせて、タラント奪われるのも、しょうがないね……」
落ち込む梨華に里帆は、どう接したら良いのか戸惑っているようだった。
「だったら、先輩。福音ベーカリーに行って見たらどうですか? 解決策が浮かぶかも知れません」
「福音ベーカリー?」
福音というと、クリスチャンに大事な言葉だ。一言で言えば神様が人間の罪を身代わりになり、復活までしてくれた良い知らせ。店の名前から言ってクリスチャンが経営しているパン屋だろう。仏教徒やイスラム教徒が福音ベーカリーなんてやっていたら、おかしい。
「ええ。イケメンがやってるパン屋ですよ」
「イケメンは興味ないなー」
「寡黙で知的なイケメンですよ。声もイケボです!」
そこまで言われると、ちょっと気になってくる。梨華はどちらといえば顔より声が気になるタイプで、好きな声優も何人かいた。
「パンは美味しいの?」
「今はイースターのゆで卵パンが映えますね。基本的に何でも美味しいですよ。あと、昨日は焼き餅の試食をやってたな」
「焼き餅?」
焼き餅というとパン屋で売るものだろうかと首を傾ける。
「中華風のお焼きなんだって。シャオピンっていう焼きで、中のフカヒレ餡が美味しかった〜」
里帆はその味を思い出しているのか、目尻を下げ、実に楽しそうな表情を浮かべていた。
焼き餅というち、ジェラシーについて言う言葉でもある。希衣に嫉妬しまくっていた自分は、何か自分の心を見せつけられているようで、気になってしまった。
「里帆、そのパン屋ってどこにあるの?」
「ショップカードありますよ。あ、これから塾だから、帰るますね!」
里帆は、梨華にショップカードを渡すと、慌てて帰って行った。
一人残された梨華は、手の中にあるショップカードを見つめる。
福音ベーカリーか。
まだ、手は動かなかったが、パン屋に行けば何か変わるかも知れない。梨華は、カバンを掴むと、福音ベーカリーに向かっていた。
希衣のSNSを見ながら、顔を青くしていたら、後輩の黒木里帆が入ってきた。典型的なヲタク女子で、部活の熱心に参加していたが、最近はあまり顔を出さなくなっていた。
「部長、聖書読んでるんですか?」
「え、ええ。一応私もクリスチャンだったし」
「そうですか、私もですよ」
里帆はそう言うと、希衣の隣に座り、聖書を覗き込んできた。
「あー、タラントの例え話ですね。持っているものは、ますます与えられら、そうじゃないない者は持ってないものまで取り上げられるって怖いですねー」
わざとらしく里帆は、身体を震わせていた。なぜか、里帆には、自分の今の状況を話してしまっていた。
「えー、嫉妬? 部長が? クールビューティっぽいのに、そうは見えませんよ」
「うーん、実は私、すごい嫉妬深かった。SNSにも悪口に賛同しちゃったり、一方的にジェラシー募らせて、タラント奪われるのも、しょうがないね……」
落ち込む梨華に里帆は、どう接したら良いのか戸惑っているようだった。
「だったら、先輩。福音ベーカリーに行って見たらどうですか? 解決策が浮かぶかも知れません」
「福音ベーカリー?」
福音というと、クリスチャンに大事な言葉だ。一言で言えば神様が人間の罪を身代わりになり、復活までしてくれた良い知らせ。店の名前から言ってクリスチャンが経営しているパン屋だろう。仏教徒やイスラム教徒が福音ベーカリーなんてやっていたら、おかしい。
「ええ。イケメンがやってるパン屋ですよ」
「イケメンは興味ないなー」
「寡黙で知的なイケメンですよ。声もイケボです!」
そこまで言われると、ちょっと気になってくる。梨華はどちらといえば顔より声が気になるタイプで、好きな声優も何人かいた。
「パンは美味しいの?」
「今はイースターのゆで卵パンが映えますね。基本的に何でも美味しいですよ。あと、昨日は焼き餅の試食をやってたな」
「焼き餅?」
焼き餅というとパン屋で売るものだろうかと首を傾ける。
「中華風のお焼きなんだって。シャオピンっていう焼きで、中のフカヒレ餡が美味しかった〜」
里帆はその味を思い出しているのか、目尻を下げ、実に楽しそうな表情を浮かべていた。
焼き餅というち、ジェラシーについて言う言葉でもある。希衣に嫉妬しまくっていた自分は、何か自分の心を見せつけられているようで、気になってしまった。
「里帆、そのパン屋ってどこにあるの?」
「ショップカードありますよ。あ、これから塾だから、帰るますね!」
里帆は、梨華にショップカードを渡すと、慌てて帰って行った。
一人残された梨華は、手の中にあるショップカードを見つめる。
福音ベーカリーか。
まだ、手は動かなかったが、パン屋に行けば何か変わるかも知れない。梨華は、カバンを掴むと、福音ベーカリーに向かっていた。