第33話 天使の休日とイチゴジャム(1)
文字数 1,416文字
ミルルは、神様の仕える天使だった。
まだまだ新人の天使であり、先輩に手取り足取り教えて貰い、仕事をしていた。
仕事は大きく二つある。一つは地上で悪霊や悪魔の出入りする門のパトロールだ。これが主な仕事で、日々筋トレをし、悪魔や悪霊やボコボコにする為に鍛えていた。
もい一つは、先輩天使がやっているパン屋に天界から材料を届ける仕事があった。時々肉体を持って人間界にいる天使もいる事はいるらしい。パン屋をやってる天使は珍しく、多くはホームレスや知的障害者のフリなどをしながら、人間のテストなどを行っているようだ。なぜパン屋かは謎だが、これも神様の意図があるのだろう。日本はなかなか聖書やキリスト教が根付いていないので、意外と肉体を持ち、お手伝いしている天使もいるらしいが。
あまり知られていないが、この世界というのは四つの区分があったりする。一つは地上。人間が肉体を持って生活する場所だ。
二つは、悪魔や悪霊が活動する世界だ。人間にとっては、一番身近な霊的存在だったりするが、迂闊に門を開いて召喚などをすると、とんでもない事になる。人間界はこの門がガバガバば所が多く、クリスチャンが祈り、神様に求めない限りは、天使達もパトロールできない。
三つ目が天使が動く天界だ。
四つ目が一番次元が高い、神様がおられる所だ。
これもあまり知られていないが、天使は人間より地位が低い。神様視点だと、天使は何でも言うことを聞く社畜だが、人間は可愛い娘や息子である。いわば社長令嬢やご子息といった身分だったが、アダムが裏切ってからは、人間は悪魔と結婚している状態になってしまった。まあ、このあたりの詳しい情報は旧約聖書の創世記を読む事をオススメする。
ミルルが神様が自ら作ってくれた材料を受け取り、トラックに積み込んだ。これを先輩天使の
「ミルル、マルは相変わらずワーカーホリックかい?」
神様はマル、今は天野蒼としてパン屋店員をしている先輩天使をそう呼んでいた。
「ええ。どうしましょう。副業ものめり込んでいるみたいです」
「そうか。私も命令して無理矢理休ませるのは、嫌なんだ」
「けっこう、先輩は副業楽しんでいますけどね」
「暇つぶしになるかと思って与えた仕事だが……。案外人間達もマルには心を開くしな……。ただ、少しは休ませないと」
ここで神様と別れ、地上にむかった。トラックごと地上の向かいなんて、「何その異世界転移?」という感じではあるが、こうして移動するのは、ミルルも嫌いではない。天界の天使の姿から知村紘一という人間の肉体の姿になり、トラックを転がすミルルの姿は、どこからどう見てもトラックのあんちゃんである。頭にはタオルを巻き、作業着姿、肌の色も小麦色にこんがりと焼けていた。
ミルルと天使の名前で呼ぶよりも、今は紘一と呼んだ方が良いだろう。
本当は蒼の店の前にトラックを直付けした方が良いとも思うが、あそこは住宅街で人目がある。トラックが突然現れたとなると、大変な騒ぎになってしまうので、こうして夜中、誰もいない野原のような場所に天から降ろし、紘一は、トラックを転がして蒼の店に向かう。
気づくと、夜があけ朝になっていた。
トラックの窓にも朝の眩しい光が差し込む。その眩しさに紘一は、思わず目を細める。真っ暗で、宵闇のような紘一の目に光が差しこむ。
「さて、先輩! 今すぐパンの材料を届けるから、待っててね!」
紘一は明るい声で、叫ぶように言った。
まだまだ新人の天使であり、先輩に手取り足取り教えて貰い、仕事をしていた。
仕事は大きく二つある。一つは地上で悪霊や悪魔の出入りする門のパトロールだ。これが主な仕事で、日々筋トレをし、悪魔や悪霊やボコボコにする為に鍛えていた。
もい一つは、先輩天使がやっているパン屋に天界から材料を届ける仕事があった。時々肉体を持って人間界にいる天使もいる事はいるらしい。パン屋をやってる天使は珍しく、多くはホームレスや知的障害者のフリなどをしながら、人間のテストなどを行っているようだ。なぜパン屋かは謎だが、これも神様の意図があるのだろう。日本はなかなか聖書やキリスト教が根付いていないので、意外と肉体を持ち、お手伝いしている天使もいるらしいが。
あまり知られていないが、この世界というのは四つの区分があったりする。一つは地上。人間が肉体を持って生活する場所だ。
二つは、悪魔や悪霊が活動する世界だ。人間にとっては、一番身近な霊的存在だったりするが、迂闊に門を開いて召喚などをすると、とんでもない事になる。人間界はこの門がガバガバば所が多く、クリスチャンが祈り、神様に求めない限りは、天使達もパトロールできない。
三つ目が天使が動く天界だ。
四つ目が一番次元が高い、神様がおられる所だ。
これもあまり知られていないが、天使は人間より地位が低い。神様視点だと、天使は何でも言うことを聞く社畜だが、人間は可愛い娘や息子である。いわば社長令嬢やご子息といった身分だったが、アダムが裏切ってからは、人間は悪魔と結婚している状態になってしまった。まあ、このあたりの詳しい情報は旧約聖書の創世記を読む事をオススメする。
ミルルが神様が自ら作ってくれた材料を受け取り、トラックに積み込んだ。これを先輩天使の
「ミルル、マルは相変わらずワーカーホリックかい?」
神様はマル、今は天野蒼としてパン屋店員をしている先輩天使をそう呼んでいた。
「ええ。どうしましょう。副業ものめり込んでいるみたいです」
「そうか。私も命令して無理矢理休ませるのは、嫌なんだ」
「けっこう、先輩は副業楽しんでいますけどね」
「暇つぶしになるかと思って与えた仕事だが……。案外人間達もマルには心を開くしな……。ただ、少しは休ませないと」
ここで神様と別れ、地上にむかった。トラックごと地上の向かいなんて、「何その異世界転移?」という感じではあるが、こうして移動するのは、ミルルも嫌いではない。天界の天使の姿から知村紘一という人間の肉体の姿になり、トラックを転がすミルルの姿は、どこからどう見てもトラックのあんちゃんである。頭にはタオルを巻き、作業着姿、肌の色も小麦色にこんがりと焼けていた。
ミルルと天使の名前で呼ぶよりも、今は紘一と呼んだ方が良いだろう。
本当は蒼の店の前にトラックを直付けした方が良いとも思うが、あそこは住宅街で人目がある。トラックが突然現れたとなると、大変な騒ぎになってしまうので、こうして夜中、誰もいない野原のような場所に天から降ろし、紘一は、トラックを転がして蒼の店に向かう。
気づくと、夜があけ朝になっていた。
トラックの窓にも朝の眩しい光が差し込む。その眩しさに紘一は、思わず目を細める。真っ暗で、宵闇のような紘一の目に光が差しこむ。
「さて、先輩! 今すぐパンの材料を届けるから、待っててね!」
紘一は明るい声で、叫ぶように言った。