第107話 蛇のように賢いパンドーロ(4)完
文字数 1,111文字
サエの家は、大きな二階建ての家だった。家というより洋館と言いたくなるような雰囲気だった。こんな広い家で、たった一人で暮らしているサエを思うと、ちょっと切なくなってしまった。
突然やってきてサエに、再び怒られる気がしたが、ケーキがあると言ったら意外と喜んで迎えてくれた。
通された和室の客間も広く、絵やツボなども飾ってあったが、貧乏世帯になれている今日子は落ち着きがない。
「今日子さん、ケーキってなんなの?」
サエはやっぱりちょっと機嫌が悪そうだったが、箱を開けてツリーのように見えるパンドーロを見せたら、表情が変わった。いくら陰謀論好きの未亡人でも甘いものは嫌いでは無いらしい。しかもインスタ映えしそうな見た目も華やかなものだ。嫌いな人は少ないだろう。
サエは紅茶も持ってきてきくれて、二人食べる事になった。
「サエさん、クリスマスは本当はイエス様の誕生日じゃないかもしれない。聖書にのってないし、悪魔ニムロデの誕生日の可能性だってサエさんが言う通りあるの。クリスマスツリーの飾りだって、リースだって本当は良いものじゃないかもしれない」
「そうよ、クリスマスなんて祝いたくない」
「でも悪ーい支配派層の方は、メリークリスマスって言葉は差別だって言ってハッピーホリデイって言えって騒いでるしねぇ。クリスマスの起源は知らないけど、語源は神様を最優先に礼拝するって意味だよ」
「で、でもクリスマスは本当は悪魔ニムロデのっ…!」
そこまで頑固に言うサエは、逆に信仰心はあるのでは無いかと思うほどで、今日子は苦笑してしまう。
「でも、蛇のように賢くいきましょうよ。悪いものでも、良くするのが私達の役目ではないかな? もちろん私達の力ではなく、神様の力をお借りしてね。まあ、ハロウィンは、どう解釈しても生贄儀式のお祭りだから、これはうちも祝わない」
「そ、そうね……」
サエは、そう言ってナイフでパンドーロを切り分ける。クリームがいっぱい詰まっているおかげで、少し崩れてしまったが、元々パンドーロは、切り口は星形のパンのようで、それだけでも可愛らしかった。
「美味しい、サエさん!」
「う、うん。これは、美味しい」
しばらく二人で、美味しいパンドーロを楽しんでいた。その表情は、鳩のようの素直だった。
「ごめんね。クリスマスは通常通り、うちの教会でも祝うけど、今後は陰謀論好きな人も興味持ってくれるように黙示録の説教とかしようとも思う」
「え、そうなの?」
「うん。そういう視点でも面白いと思うしね」
今日子は笑顔で言うと、サエはバツが悪そうだった。
「こっちこそ、紅茶ぶちまけて、ごめんなさい」
今までで一番素直な態度のサエに、今日子は目を丸くしていた。
突然やってきてサエに、再び怒られる気がしたが、ケーキがあると言ったら意外と喜んで迎えてくれた。
通された和室の客間も広く、絵やツボなども飾ってあったが、貧乏世帯になれている今日子は落ち着きがない。
「今日子さん、ケーキってなんなの?」
サエはやっぱりちょっと機嫌が悪そうだったが、箱を開けてツリーのように見えるパンドーロを見せたら、表情が変わった。いくら陰謀論好きの未亡人でも甘いものは嫌いでは無いらしい。しかもインスタ映えしそうな見た目も華やかなものだ。嫌いな人は少ないだろう。
サエは紅茶も持ってきてきくれて、二人食べる事になった。
「サエさん、クリスマスは本当はイエス様の誕生日じゃないかもしれない。聖書にのってないし、悪魔ニムロデの誕生日の可能性だってサエさんが言う通りあるの。クリスマスツリーの飾りだって、リースだって本当は良いものじゃないかもしれない」
「そうよ、クリスマスなんて祝いたくない」
「でも悪ーい支配派層の方は、メリークリスマスって言葉は差別だって言ってハッピーホリデイって言えって騒いでるしねぇ。クリスマスの起源は知らないけど、語源は神様を最優先に礼拝するって意味だよ」
「で、でもクリスマスは本当は悪魔ニムロデのっ…!」
そこまで頑固に言うサエは、逆に信仰心はあるのでは無いかと思うほどで、今日子は苦笑してしまう。
「でも、蛇のように賢くいきましょうよ。悪いものでも、良くするのが私達の役目ではないかな? もちろん私達の力ではなく、神様の力をお借りしてね。まあ、ハロウィンは、どう解釈しても生贄儀式のお祭りだから、これはうちも祝わない」
「そ、そうね……」
サエは、そう言ってナイフでパンドーロを切り分ける。クリームがいっぱい詰まっているおかげで、少し崩れてしまったが、元々パンドーロは、切り口は星形のパンのようで、それだけでも可愛らしかった。
「美味しい、サエさん!」
「う、うん。これは、美味しい」
しばらく二人で、美味しいパンドーロを楽しんでいた。その表情は、鳩のようの素直だった。
「ごめんね。クリスマスは通常通り、うちの教会でも祝うけど、今後は陰謀論好きな人も興味持ってくれるように黙示録の説教とかしようとも思う」
「え、そうなの?」
「うん。そういう視点でも面白いと思うしね」
今日子は笑顔で言うと、サエはバツが悪そうだった。
「こっちこそ、紅茶ぶちまけて、ごめんなさい」
今までで一番素直な態度のサエに、今日子は目を丸くしていた。