声
文字数 228文字
わたしは合議制の声よりも
個人的な声を愛する
顔のない群衆の声よりも
血の通った声を愛する
それがどれだけ支離滅裂で
主観的で
非論理的であったとしても
そこに痛みがあるのなら
わたしは痛みの震えを感知して
文字から聞こえる声のように
痛みから透ける魂に触れる
そうしてその痛みを哀惜しながら
わたしは記憶に焼きつける
わたしが死んでしまうその日まで
いつでもその声を思い出せるように
聞こえてしまった者の義務は
功利と無縁に果たされるべきだと信じるから
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