本と共に

文字数 354文字

 こんなに本が楽しくて
 いいのかしら?
 焦がれるように読み漁っていた十代の頃のように
 本ばかり読んでいる
 完成が見えたからかもしれない
 もう少しで
 想像の書棚が一区切りつく
 再読だけでも一生飽きずに過ごせるな、と
 そう言える程度には集まった、鏡のかけらのような、きらきら輝く言葉の積み重なった遺跡たち
 失われた時を求めてとか、ユリシーズとか、特性のない男とか
 長くて読みにくいと言われる大部の作品を読み終えると
 作品の面白さとは別に、ありがたい勇気も受け取った
 読めない本はないんだ、と思えるような少しばかりの思い上がり
 もうすぐ一区切りつく
 そうすればまた、新たな地平が見えるだけだろうか
 それはそれで楽しみなことだ
 いつ死に、いつ途絶するかはわからないけれど
 そのときが来るまでは、本と共に歩いていきたい
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