思い出すという失敗

文字数 206文字

 思い出すたびに傷が広がる
 じくじく痛む
 なぜヤスリをかけるように傷をいじくらなければならないのか
 思い出すという加害
 思い出すという暴力
 思い出されることを望まない記憶がそのたびに壇上に引きずりあげられる
 視線のリンチ
 無言の迫害
 思い出すという冷たさ
 いじめが起きている空間のような無尽蔵の冷気
 見放されたという実感
 汚水の涙
 甘やかな感傷になりそこねた恥辱
 思い出すことが下手なわたしの
 思い出すという失敗
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み