命題

文字数 153文字

 ぼくは
 過去しか目に映らない老人のように
 何度も同じことばかり呟いてしまう
 人間が生涯かけて執着するのは
 ほんのいくつかの事柄にすぎないと
 怠惰を正当化するために運命を持ち出すのと同じような
 胡乱な詐術に似た実感によって
 だれも聞かない呟きをもごもごと
 死ぬまで繰り返す
 それが自身に与えられた命題だから
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