水分のような

文字数 269文字

 足りてないのさ
 水分のような
 詩が

 当たり前の潤み
 乾く前の
 安らぎ

 眠るときに
 人間がかく汗
 のように書かれた言葉
 ではない
 であるか
 その潤みは足りているか

 歩いたことのない道
 歩いてみる理由に
 見たことのない雨滴
 見るためだと偽って

 コンクリートの汚れのパターン
 さえもが美しい、と
 この世にあふれる美しさを並べるときに
 真っ先にそれを持ち出した作家は
 十年以上前に他界して
 コンクリートの汚れのパターン
 さえもが見られなくなってしまって

 死を語るパターン
 足りてない
 圧倒的に
 死んだ人すら生前は紋切り型
 の、言葉
 潤いを欠いた
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