わたしと空気

文字数 224文字

 わたしと空気に摩擦が生じて
 火花のように
 言葉が生まれる
 望んでもいないのに

 空気のなかを
 人々は容易く歩く
 隣の芝生は青く見えるという
 そういった類いの事柄だろうか

 わたしはいちいち
 空気にぶつかる
 硝子に気づかず直進したかのように
 恥ずかしいほど衝突する

 わたしは空気が怖かった
 わたしを取り巻くすべてが
 敵対的な季節のように
 (いばら)を巡らして待ち受けるようで

 わたしと空気
 その摩擦
 火花のようではなく血のように
 望んでもいない言葉が飛び散って
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