わたしの冷たさ

文字数 257文字

 わたしの冷たさは外在化された秩序だ
 つまりわたしに属していない
 わたしはわたしを根拠とせずに他人に対してかぎりなく冷たくなれる
 それは内面化された距離の思想だ
 わたしはその距離を肯定も否定もせず眺めている
 わたしがわたしを差別するとき
 自分を虫けらのように遠く小さく(なみ)するとき
 わたしは矮小化された聖痕のように過去の痛みに意味を与えている
 それは不都合な贖罪だ
 (よこしま)な専横だ
 わたしの冷たさをわたしが独占するとき
 結晶と化した意志の(とが)りがわたしの裏側からわたしを引っかくのを感じる
 流れた血の行方すら知らないままに
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み