消費についての声

文字数 368文字

 おまえは消費するだけなのか
 他人の死を
 他人の生み出した
 いのちと呼ぶほかない輝きを

 いえ
 ぼくは消費したくはありません
 でも消費せずに
 どう触れたらいいのか
 ぼくにはわかりません
 他人の死にも
 その輝きにも

 嘘はもう
 やめてしまえよ
 おまえはもう
 知っているはずさ

 そんなことはなかった
 そうかもしれなかった

 ぼくは自分の死に触れて
 ささやかなものを生み出すくらいしか
 できません
 それでいいのでしょうか

 もう声は聞こえなかった
 答えはなかった
 消費したくなかった
 やり方はわからなかった
 それでもやるしかなかった

 どれだけの愚かを
 自分に許すのだろう
 とんでもない失敗が
 自分を待つのだろうか
 輝きはすべて外側にあるのに
 なにかを生み出せるのだろうか
 消費せずに済むのだろうか
 自分の死も他人の死も
 あまりに不足なる
 不確かな魂を
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み