濡れた舗道

文字数 295文字

 濡れた舗道
 夕日の鏡面
 水たまりをたどってどこまでも歩いていけば
 偶然の正体に出会えるだろうか
 ふとした気がかり

 でも、向かう場所はそちらではないし
 帰らなければならないし
 休まなければならないし
 あと、飲むとか食べるとか義務のような消費活動とか
 ネットを見たりとか切れ切れの言葉による感想とか知識とか罵詈雑言とかコミュニケーションとも呼べないようなコミュニケーションを覗いたりとか
 なにより眠らなければならないし
 どこまでも歩いていきたくても
 どこまでも歩いていく理由はないし
 疲れるだけだし
 意味がないし

 きょうも神の采配を無視して
 水たまりを跨いで歩く
 無視する理由もないはずなのに
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