時は止まらない

文字数 292文字

 時は止まらないという激烈さ、優しさ、哀しさについて
 時は止まらない
 砂時計がなくても
 感じる消耗
 時がない
 言葉を生み出す
 余地もないほど
 時は止まらないという哀しさ、哀しさ、哀しさについて
 あの人まだ
 生きてたんだ
 あの人もう
 死んでたんだ
 決定的な差異が
 砂で埋まる日
 時は止まらない
 鏡に映った笑顔が風化する
 化石の感情が不注意で塵となる
 いつもあった希望
 すべて取り戻すことができるという願望
 義務教育を受ける年齢に差し掛かったとき
 すでに傷口が見えていた幻想
 時は止まらないというほころび、もつれ、うつむき、いたたまれなさについて
 みんな死ぬ
 身も蓋もない結論
 負けそうだ
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