死を思い出して

文字数 311文字

 死を思い出して力が抜ける
 死を思い出して力がわいてくる
 どちらもあるような
 気がするな
 なにがふたつを
 分かつのだろう

 いずれ死ぬ
 だれもが死ぬ
 なにをしても
 どうあがいても
 無駄じゃないか
 無意味じゃないか
 いつもそう思う
 いつも無気力になる

 死んだ人
 たしかに生きたという軌跡
 その想い出
 まだ
 消えてはいないということ
 過去のすべてが灰になり
 それでもまだ
 火が
 残っている
 内側の内側の内側に
 いずれ死ぬ自分の死の隣に

 死を、視たい
 拒みたい
 受け入れたい
 (ひざまず)きたい
 呪いたい
 殺したい
 遠ざけたい
 泣くように笑いたい
 死ぬように生まれたい
 死を思い出して
 力が
 こころが
 気力が
 光が
 死を思い出して
 死の隣に
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み