死者は笑うか

文字数 242文字

 ぼくはずいぶん陰気な人間ではあるけれど
 自分の言葉でだれかが笑うと
 そのことを後々まで嬉しがったりする
 笑わせる魂胆を特別もっているわけではないけれど
 感心されるより笑ってもらうほうがいい
 偶然か愚かさの結果であってもそれはそれでいい
 自分でも笑っている
 暗さもすべて笑いに放り込んでしまえばいい
 死ぬときも笑いたいものだ
 たぶん気力も意味も表情もない
 伝わらない笑いにしかならないだろうが
 死者が笑ったかどうかなんてだれにもわからないのだから
 笑ったということにしておいて死にたい
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