なにも書かなければよかった

文字数 181文字

 哀しみはそのままでは詩にならなかった
 言葉になりようがなかった
 それが哀しかった
 そのままでは表せないことが
 そのままでは伝わらないことが
 正直に語りたかった
 誠実に伝えたかった
 でもそれは嘘にしかならなかった
 砂のように指先から哀しみがこぼれていく
 表現するたびに忘れていく
 なにも喋らなければよかった
 なにも書かなければよかった
 こんなに歪んでしまうのなら
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