水切り

文字数 238文字

 沈黙に
 石を投げる
 ただそれだけの練習
 水切り
 それは意味もなく美しい
 水面を跳ねながら突き進む石のかけら
 ひとりで飽くことなく
 ただ練習
 石が意志になりかけらが言葉になり
 沈黙は
 水のようには波紋も見せず
 とりたてて綺麗でもないけれど
 それでもひとりの水切りは楽しい
 喜べ
 昔日のひとり遊びに戻れて
 隣にだれもいなくても
 向こうからなんの応答もなくても
 この遊びにはなにかがある
 だからひたすら
 ただ練習
 少しでも遠くまでを目指して
 夕暮れの水面(みなも)のような静寂を目にするまで
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