正しく憎む

文字数 342文字

 くり返しによって、おどかしによって、仮面をかぶったおどしによって、断言のもつ軽蔑的な力によって、一挙にあらゆる論争の上に席を占めたがる政治的屑

 という文章を読んで
 なんだか笑ってしまった
 半世紀以上前の文章だけど
 すごい罵倒だ

 「断言のもつ軽蔑的な力」

 「一挙にあらゆる論争の上に席を占めたがる」

 いまでもよく見る風景だ
 うんざりするほど覚えのある醜さ
 それを屑と言いきれるほどには
 自分と無縁なものではないかもしれないけれど
 この罵倒に心地よさを感じるのも事実だ

 ()だ仁者のみ()く人を好み、能く人を(にく)

 論語のそんな言葉を思い出す
 正しく憎むということがあり得るとして
 それはどれだけ難しいことだろう
 自分には可能だろうか?
 不見識とも不寛容とも嗜虐とも訣別(けつべつ)しながら憎むことなんて
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