夜がのたうつ

文字数 351文字

 深夜、わたしは、ひとりきり、魂が、死にそうだ、と、感じて

 どうすることもできずにのたうちまわる

 本を開き、こころを動かす。
 終わった。

 音楽を聴き、こころを動かす。
 終わった。

 魂が、死にそうで、魂が、のたうちまわって、魂の、死だけが、終わらない

 終わった。
 ぼくという人間は。
 終わった。
 動くことに疲れたこころが。
 終わった。
 のたうつほどに無表情になる魂が。
 終わった。
 終わった。
 終わった。

 夜が、終わらなくて、呆然と、終わらなさが終わるのを待って、深夜、魂の深夜が終わらなくて、夜が、のたうつように、頭が、閉ざされたように、死が、過去になったように、言葉が、二度とつぶやけなくなったように、肌が、安物のプラスチックと化したように、自分が、網のなかの闇のようで、

 だれかが、また死んでいる。
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