影が笑った

文字数 173文字

 影が笑った
 わたしは笑わなかった
 どちらが正しかったのだろう
 迷いが逡巡して桜が咲いた

 影を殺した
 わたしは気づかなかった
 どちらを向いていたのだろう
 冷たく濁って膝から崩れ落ちた

 ときどきわたしは
 空よりも遠くまでずれてしまう

 わたしが後ろを振り返ると
 数珠つなぎの影がうつぶせのまま
 蛇行する来歴の道のように
 敷石代わりに遠くまで続いていた
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