這いずる憎悪

文字数 310文字

 インターネットが
 また
 怒りを誘発する言葉を運んできた
 敬愛する詩人が小馬鹿にされている文章
 わたしは瞬間的に激情にかられ
 そして瞬時に冷ややかとなる
 おまえに何がわかるんだ、と怒り狂い
 わたしに何がわかるんだ、と投げやりな気分になる
 そしてすべてがどうでもよくなる
 他人と自分への軽蔑がより深まる
 人は人を理解しない
 自分のことすら理解しない
 くだらない
 付き合いたくない
 目にしたくない
 指一本触れたくない
 小馬鹿にしている人間を小馬鹿にすることすら煩わしい
 一切関わりたくない
 二度と喋らないでほしい
 許したくもない
 一片の慈悲も注ぎたくない
 際限なく冷えていく
 わたしの憎悪はなぜこんなにも低く這いずるのだろう
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