熊のように

文字数 196文字

 思い出の痛みは熊のように
 繁みから突然現れて襲う
 愛嬌のある顔つきのまま
 こちらの魂を引き裂いてしまう
 わたしの感情のすべてが向かう先
 その目的地が消え去ったことで
 削れながらも激しくまわる車輪のように
 虚しい軋みだけが火花を散らしている
 熊のようにあどけない顔で
 いまも胸の奥底を喰い散らかしてしまう思い出
 ひどい思い出だ
 憎めないところが始末に負えない
 憎めない痛みがいちばんたちが悪い
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