背表紙を眺めながら

文字数 273文字

 自分の本棚に並ぶ
 背表紙を眺めながら
 それぞれの記憶
 言葉の手触りを思い出して
 いま読み返したい本は
 どれだろう
 いまの気分にぴったりの本は
 あるだろうか
 あれこれ迷いながら
 視線をめぐらせ
 記憶をなぞって
 しばらく経ち
 結局どれも
 手に取らない
 そんな時間を
 何度も過ごした
 でもそれも
 無意味なことではなかったのだろう
 アルバムの写真を見て
 旧友の人柄や
 かつての貴重な時間を懐かしむ
 それと同じようなものだ
 かすかに記憶が動いただけでも
 それは読むことの続きなのだから
 背表紙のひとつひとつが
 時間のしおり
 言葉と自分の結節点
 なのだから
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