死刑囚の詩
文字数 222文字
死刑についての本を
読んでいた
死刑囚の孤独な一日と
自分のなにもない一日は
どれほど隔たっていて
どれほど近しいのか
測るような振りをして
死刑囚の綴った詩を読んで
稚拙だな、と
残酷な感想しか抱けなかった
死を前にしても
言葉は技術の問題なのか?
その詩を書いた人はとうに吊るされて死んだ
もういない
死因は「刑死」と
死亡診断書に記されるらしい
他人に死をもたらした人を
吊るす朝
その情景を
よく思い浮かべる
細部のないまま
不正確に
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