めくれる

文字数 211文字

 自分が存在しているという感触が
 とつぜん剥がれることがある
 世界に(のり)で貼りつけていたみたいに
 ぺらっとめくれて
 端っこだけがかろうじてくっついている

 ああ、めくれた
 めくれためくれた
 子どもの頃は
 よくめくれていたな
 自分がなんでいまここにいるのか
 自分がなんでこの名前なのか
 自分がなんでこの人間なのか
 当然だったことすべてに疑問符がつく
 めくれた、めくれた
 まためくれた
 童心に帰るように
 剥がれ死にそうなめくれ具合
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