最初から止まっていたかのように

文字数 220文字

 遺体は
 目の前にすると
 まるで
 その人は最初から止まっていたかのように
 笑ったり話したりしていたのが幻であったかのように
 見る者のこころを叩きつぶす

 どうか
 思い出が息をかよわせて
 無情なる静止にも関わらず
 生きたという夢が
 最初からなかったことにはなりませんように
 最初から死であったとは騙されませんように
 記憶の温もりと
 死の冷たさを
 正しく見据えるかぼそいこころを
 崩壊の只中においてもなお
 震えながら
 授かることが許されますように
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