スポーツをしたいのではなく

文字数 414文字

 隙間はどんどん消されていく
 あらゆるものに用途が定められる
 子どもの頃の意味のない遊びが
 だんだん許されなくなって
 身体を動かす遊びは
 スポーツとして整頓されたかたちでしか
 してはいけない空気に侵される
 スポーツをしたいのではなく
 遊びたかっただけなのに
 自分の愛した鬼ごっこは廃れてしまい
 身体を動かすことに理由をつけなければならなくなる
 口実が必要とされ始める
 言い訳がましく

 子どもはよく
 意味のない動きをする
 腕を限界までねじったり
 とつぜん側転したり跳ねまわったり
 大人が同じような動きを外ですると
 頭のおかしな人と見なされる
 それは言い過ぎか?
 でも、そんな空気はたしかにある
 その空気を感じる以上
 自分は気ままに動けなくなった
 子どもの意味のない動きを見かけると
 ほっとする
 この空気は絶対に間違っているという頑迷な信仰に
 赦しを与えられたような気がして
 肉体は社会の従属物ではないと
 声高に語られている気がして
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