深夜のコーヒー

文字数 293文字

 深夜のコーヒー
 というものに
 なにかしらこころよい泡立ちを感じる
 深夜の事物すべてにも

 深夜に思い返すだれかの顔
 深夜に思い返すだれかの声
 神からかかってきた深夜の長電話のように
 なにかしらこころよい泡立ちがうずく

 深夜
 激しい音楽を絞った音量で聴く
 渦巻く濁流に言葉が呑み込まれて
 なにを歌っているのかよくわからない
 それを飲み下すよろこび
 わからないまま受け入れられるよろこび
 なにかしらこころよい泡立ちが
 音楽
 そしてコーヒー
 なにかしらこころよい泡立ち
 深夜
 柔らかで
 なにかしらこころよい泡立ちが胸を占めて
 この時間がわたしは好きなのだと気づく
 初めて知ったようなふりをして
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