夜の感性

文字数 189文字

 夜の感性
 それに忠実でありたい
 暗ければ暗いほど見えるものがある
 記憶の他人が影に溶けて
 ぼやけた境界が倫理を侵犯する
 四囲の壁面が神の(はだえ)
 それは温度を持たない抑圧
 われわれの蹉跌(さてつ)
 鎖に縛られた思考の由来
 見える窓よりも見えない窓が
 最後に残された風抜きとして
 たしかな信頼に値するだろう
 夜明けを待たない眠りの前に
 触れられなかった沈黙に祈る
 静かに死んでいく人々のために
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