あれほどの文章を書いた人が

文字数 321文字

 死について、あれほど真摯な文章を書いた人
 その文章だけで、最大限の敬意と感謝をいまも抱いている
 でも、彼がいまやっていることは
 単なる金稼ぎ?
 過去を土足で踏みにじる行為?
 あの魅惑的だった文体も、死んでしまった
 少なくとも、なにかが喪われた
 いや、傍目からの無責任な感想だ
 どんな苦労や葛藤や苦心があるともかぎらない
 ことさら辛辣な眼で見るべきではない
 ただ、またあの文章を読み返して、こころを強く動かされるほどに
 なぜ、そうなったんだろう
 なにがそうさせてしまうのだろう、と
 いま、彼がやっていることは、何なんだよ、と
 そうさせてしまうなにかが、ことさら憎くなってしまう
 時間の残酷さにだれが勝てるのか?
 好ましきものすべてが朽ちていく
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