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文字数 568文字

 そういったとき、パン、パンという乾いた破裂音と共に、シュッと風を切るような音がいくつもした。

「なんで? 今どきの警察はこんな安易に拳銃を撃ってくるの? どうなっているの? ここはアメリカじゃない、日本よ!」
「あんたらは多分、凶悪犯に仕立て上げられているんだ」
「あたしたちはただ……!」
「聞く耳持つ奴がいるなら、いきなり撃ってはこないさ」
「ちょっと待ってよ……」
 マーシーが振り返り、キッと真白をにらんだ。
「ここで議論すんな! 今、目の前で起きている現実をしっかりと見るんだ!」
 気圧された真白は、思わず口をすぼめた。
「いいか? 今オレたちにできることに集中しろ!」
 マーシーは肩をいからせていた。それを、真白は上目遣いで見た。
「い……いったい、あたしたちにできることって?」
 彼は、フンと鼻を鳴らしていった。
「今すぐに、頭を伏せることだ!」

 四人は一斉に頭を低くした。
 同時に、ビシッと音がして車両後部のガラス窓にひびが入った。まもなく細かい破片が座席に飛び散り、四人の頭にパラパラと固い音を立てて降りかかった。
「ああ、もう!」
 真白は抱えていた頭を起こした。上半身をよじると、割れたガラス窓の方に目をやった。
「こっちの車にもマシンガンとか付いてないの?」
 マーシーが、サングラスをずらしたまま叫んだ。
「こいつはボンドカーじゃねえ!」
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