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文字数 274文字

 泡立つ背筋、冷たい汗、獣じみた臭い息、叫びにならない叫び、微かな月明りだけが頼りの暗がり、それら全てが一斉に、あたかも冷水シャワーのように、真白の全身の肌という肌を覆い、包み込んだ。
 焦れた男が、彼女の髪を手離して、ブリーフに手をかけた。彼女はその隙をついて、すかさず床を這って、そばのバッグの取っ手をつかむなり個室の扉を押し開けた。
「おい、こら!」
 男は凄んだが、下ろしたままのジーパンが足かせになったのだろう。真白を捕まえることができない。その大きな手が空を切るのを真白は視界の隅で捉えた。
 暗い個室の中へ入ると、すぐさま後ろ手で鍵を掛けた。
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