１１（６）

　他の一人が地面に手を伸ばし、一メートルほどの長さのあるバールを手にした。ドアとその枠に差し込むなり、きしむ音が鳴った。
　もう一人の男は、鋏状の大きなチェーンカッターを構えている。
ギイギイという音が、閑静な休日の住宅街に響いていた。

（こじ開けようというのか）
　数メートルそばまで寄るなり、裕丈は三人に問うた。
「お主らは、いったい？」
　彼らが手を止め、こちらを向いた。三人共、薄汚れた作業着を身につけている。
　男たちの足元には、鉄パイプが三本転がっていた。
　そのうちのスキンヘッドの男が裕丈をにらみつけながら、一歩進み出てくる。

「邪魔立てする気か？　お前は何者だ？」
　裕丈は、半身になってバットを抜き、それを腰の高さで構えた。
「人呼んで、ブンブン侍」
「ぶ、ぶんぶんざむらい、だと？　侍姿のコスプレイヤーが我々に何の用だ？」