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文字数 548文字

 マーシーが首や肩を回して、凝りをほぐすような仕草をした。
「ま、目的の市外脱出を果たしたしな。この先にある比較的大きな街まで送ってもいいし、もちろんここで降りてもいいぜ」
 真白はもう一度、オレンジの海を振り返り、BBの目を見た。彼は何か言いたげに、じっと見返してくる。

「あたしも降りる。海を見ながら、少し歩きたいし」
 マーシーは、サングラスの上に眉を浮かせた。それから、短く「OK」といって真白に紙片を手渡してきた。
「これ、利用料金の払い込み先の口座。まずは半月以内に頭金を入れてくれ。ローン払いのことは後日メールでやり取りしよう。あと、俺たちの活動に賛同してサポートを約束してくれている会社やNGOのリスト一覧だ。家探しとか困ることがあったら、どんどん連絡して頼ってくれたらいい」
「わかった」
 真白はそれにざっと目を通すと、ドアを押し開けた。
 潮風と波の音が押し寄せてくる。
 彼女は目を閉じて、深く息をした。
「……気持ちいい……」

 助手席の窓が開く。
 マーシーがサングラスを下にずらして真白を見た。その奥のトザキもこちらを覗くようにする。
「それじゃ」
 マーシーが手を軽く上げた。
「マイケル……じゃなくて、えーと、ルイさんによろしくね」
「おう」
 爆音が弾けて、白い車体が駐車場を滑り出していった。
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