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文字数 784文字

 毎月第2第4月曜の朝9時から、チームメンバーが一堂に会する〝全体ブリーフィング〟と呼ばれる会合が行われるとのことだった。

 最初に説明会が行われた時と同じ大会議室で、真白らのチーム305も、一度自分たちの所定の待機部屋に出向いてから集合場所に足を運んだ。
「市の公安トップからの訓示に始まり、過去2週間の情勢分析、今週の重点任務や作戦の説明がある。必要とあれば、質疑応答の時間も取られる」
 ジャンが歩を進めながら、初めての全体会合に臨む二人に、その概要を語った。

 大会議室後方の入り口から中へ入ると、部屋の一番奥に大型の液晶スクリーンが設置され「須波市 治安維持チーム 全体ブリーフィング」と表示されていた。
 定刻になり、司会役だという市職員の白髪交じりの男がマイク越しにいった。
「えーとですね、それでは時間になりましたので、始めさせていただきます。桜木公安部長、お願いいたします」

 名を呼ばれて、真ん中の演台の前に還暦は過ぎているであろう男が立った。背丈は大きくブラックスーツの肩幅はがっちりとしていた。額は広く、青白い顔面は至るところにしわが寄り、目つきが険しい。他人はまるで信用しないといった感じの、見るからに陰鬱な人相だった。
 真白らの席は廊下側の中ほどだった。たまたまそこから見えている窓際の袴姿の男に彼女は幾分気を取られていた。
 黒い布袋に入った長い棒状のものを両膝の間に立てて両手で上から支えている。武道家なのだろうか。その彼は静かに目を閉じているが背筋がまっすぐに伸び、居眠りではなく瞑想にふけっているように見える。

 桜木は落ち着き払った口調で事もなげに、市長狙撃事件に絡んで既に100余名拘束し、順次取調べを進めていることを明らかにした。
 今後も実行犯を捕まえることに全力を挙げるが、さらに事件に関わったとされる逮捕者が増えるだろうとの見通しを述べた。
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