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文字数 485文字


(!)
 ボンと、くぐもった鈍い音がした。
「つ!」
 警棒が工場長の太ももにめり込んでいる。彼は痛みに耐えかねた様子で、固い床に転倒した。

 そばで見ていた経営者の男が呆然としている。
「いいですか。また口答えするようだと今度は、頭をかち割りますよ」
 ジャンは床に転がり、もだえ苦しむ工場長の男を見下ろし、そうささやいた。その口調は、あくまで平静である。

 経営者の男はうろたえた。
 理不尽に耐えかね、刑事とジャンを相手に訴える。
「ま、待ってくださいよ! あれは、わしどもを陥れるために、あの警官が持ち込んだものではないですか? ……事実無根の罪で一般市民を捕らえて、君ら、どういうつもりなんだ?」
「そういう申し開きの場は、一応設けてある。言いたいことがあるなら、取調べ官に話すがいい」
 刑事はそういうと、くると背を向けて事務所を出ていった。
 経営者の男は言葉を失った。それから力なく振り向くとそばに立つ真白とマイケルを交互に見たが、彼女は思わず目を伏せた。

 ジャンは、外の駐車場に向かって指さすと、やはり穏やかにいった。
「さあ、行きましょう。本当に無実なら、すぐに終わりますよ」
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