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文字数 605文字

 大男は、マイケルとジャンを交互に見ながら弁明した。それを聞いたジャンが、警棒を構える。
「BB、仲間内の裏切りはかなり高くつくぞ。死ぬまで収容所だ」
「承知した」
 BBは、感情を押し殺ろしたような声でいった。
「は?」
 ジャンは、サングラスの奥の目を細めて訝しんだ。

「なれど、その前に仇討ちを果たす」
 そういうや否や、BBはバットを両手に持ち大男の前に進んだ。大男はとっさに、そばにあった椅子をひっつかみ、身体の前に掲げ防御の構えを見せる。
 彼は自分の頭部を目掛けてBBがバットを振り下ろそうとしたのを見て、反射的に椅子を持ち上げた。その刹那、BBはバットの軌道を変え、座面を下から跳ね上げた。その瞬間、がら空きとなった相手の左の脇腹に一撃を叩き込んだ。
 骨の砕ける音がする。
 同時にBBは吐き出すようにいった。
「ジャストミート!」
「つ!」

 大男が巨体をよろめかせる。嗄れ声が、思わず身を引いた。
 そこへ続けてBBは、大男の脛めがけてバットを振り下ろす。
「ぎゃふ!」
 これも枯れ木が折れたような音がして、たまらず大男は転倒した。
 BBがその顔にバットの先端を突き付けると、大男は振り払って逃げようとした。それを見たBBは、淡々といった。
「あまり動かぬ方がいいぞ」
「……は?」
 もぞもぞと動いていた大男の身体が止まる。
「折れた肋骨が、心の臓を突き破るや知れぬ」
 彼の顔がみるみるうちに青白くなり、大粒の汗が浮かんだ。
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