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文字数 598文字

 開きっぱなしのドアから、話し声が聞こえた。

「何かの間違いでしょう」
 工場側の人間の弁明のようだった。
「情報提供があったって? 誰が何を根拠に……」
 別の男性の声がする。
 三人はそのまま中へ入った。
「これが捜索令状だ」
 刑事らしき男の一人が、書類を広げる。
 灰色のよれた作業着の経営者とおぼしき頭の禿げあがった初老の男がそれを凝視して、やはり首をひねった。
「そんなバカな話ないですよ」

 他の刑事や警官ら五、六人が、カウンターの内側に回り込む。そこにいる二人の女性事務員も立ち尽くしていた。

「本当に間違いであって何もないのであれば、我々の捜索に協力してもいいのでは?」
 令状をしまい込んだ刑事が冷たく薄い笑いを浮かべる。
 経営者の男は、うんざりといった仕草を見せた。
「何も出てこないと思いますがね」

 受付奥の扉から作業場内へ入っていく複数の警官の後姿が見えた。
 チーム305のメンバーと刑事の四人は、工場側の人間と対峙して黙って立っていた。
 作業場の物音や話し声が聞こえてくる。
 ジャンが小さく顎を上げ、壁にかかった時計を気にする素振りを見せた以外は、誰も動こうとしなかった。
 真白は時々、目だけを動かせて、そっとその様子を見ていた。

 やがて警官の一人が足早に戻ってきて、刑事の前に立ち、手にあるものを見せた。
「このようなものが」
 彼の手には、白い粉状のものが入った3センチ大のビニール袋があった。
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