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文字数 414文字

 全く歩み寄りを見せない彼の姿勢を見て、エデン委員会内で協議を重ねたところ、世論を操作しながら四年後の次の市長選を待つしかないという意見が大勢を占めたらしい。が、日本国内の治安悪化をさらに四年も手をこまねいて眺めているのか、という議論も生まれ、委員会が内部分裂した。
 裏でかの国の国家主席の後押しがあったかどうかまでは定かではないが、少数派であったはずの委員会内グループが過激な手法に走ったがために、例の市長狙撃事件が発生した。

 就任一か月してから週末の昼間に開かれた市長演説会の会場となった市中央公園は、集まった市民らで埋め尽くされた。あの日、あの場を、あの手法で市長を排除したグループの誰か、おそらくはその筆頭とされる桜木公安部長あたりが市長代行となった門脇副市長に非常事態宣言の発令を迫ったと考えられる。
 榛村と同じ目に遭いたくなければ、と門脇を半ば脅迫して、結果的に一気にエデン構想推進に振り切る流れとなったのであろう。
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