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文字数 494文字

 缶コーヒーを二本持ってマイケルが店から出てくるのが見える。
 それを少し上へ掲げて、こっちへ出て来いと手招きした。
 店の入り口から少し離れたところまで来ると、マイケルは真白にコーヒーを渡した。

「あ、いただきます」
 マイケルが無言で頷くと、二人はコーヒーを口に含んだ。
 真白は、口中に広がる苦みに思わず目をつむる。寒い夜に外で飲むホットコーヒーには、温かさと同時に相反する寒々しさを帯びた、特有の風味がある。

 車の通りがほとんどない車道を見つめていたマイケルが、おもむろにいった。
「ハーマンが、君のことを反組織的だと指揮監督室に報告しなければいいが、な」
 真白は顔を上げた。
「……そうしたら、ジャンの耳にも入る?」
「もちろん」
「あそこで躊躇したら、反社人間を庇い立てしたとして、今度は僕らがしょっ引かれてしまうんだ」
「だって、あれはただの酔っ払い……」
「ただの酔っ払いか、テロリストなのかは取調べ官が決める。僕らは黙って捜査対象者を連行するのが仕事だ。つまり本来なら、あの連中か君のどちらかが取調べを受けて収容所送りになるところだ」
「そんなおかしな話はないですよ」
 真白は、気色ばんだ。

 
 
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