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文字数 701文字

「ん?」
ジャンが、スマホを取り出した。画面を見るなりマイケルの目つきが鋭くなる。
「……ハーマンからの救援要請だ」

 真白は、連行任務がスムーズに行っていない状況を察したが、あの夜、躊躇なく男たちを鉄パイプでめった打ちにしたチーム49が手に負えないとは、いったいどういうことなのか。
 連れ出そうとして住人から強烈な返り討ちに遭ったのだろうか。
「いいか。マイケル、ジェーン、行くぞ!」
 ジャンが、これから向かう方角を警棒で指すと小走りした。
 マイケルは腰から催涙スプレーをぶら下げると、同じく伸縮式の警棒を手にし、後に続いた。

「マイケル」
ジャンが、薄手の革グローブを手にはめながら人差し指を立てた。
「さっきの、BBとかいったな。彼も呼び出せ!」
「ラジャー」
 マイケルはイヤフォンを耳に入れながら、空いた手でスマホアプリを立ち上げた。
 やがて、49のハーマンから発信されたSOS信号により自動的に作動したGPS機能で彼らの所在がほぼつかめたようであった。
「この辺りだな」
 振り向いたジャンが、サングラスの奥で細い目を周囲に走らせた。
 戸建て住宅の玄関に異常がなく、また自分たち以外の人影がないのを見て取ると、十数メートル先の木造のアパートに目をつけた。
 ジャンは、後ろを行く真白とマイケルに頷いて見せるなり、玄関の並ぶアパートの裏手に回り込むべく歩を進めた。

 アパートの裏の一番奥で、三人のつなぎを来た大柄な男たちが横たわっていた。鉄パイプが無造作に転がっているのが見える。
 ジャンがハーマンに駆け寄る。「誰がこんなことを!」
 抱き起こされたハーマンの額は割れて血まみれだった。焦点の合わない目つきをしている。
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