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文字数 584文字
波を打つ音がする。その海面はオレンジ色に染まった空を映して光っていたが、その下は底の見えない黒い水がうごめいていた。
BBが振り返る。
「世にある全てのものは終わっていくんだけど、僕の悲しみは今、ここで終わるわけですね」
決行が迫る中、真白は彼の決断が覆ることを願ったからかもしれない。ふと口をつくようにして疑問を呈した。
「それで、天国で沙織さんと会えるのかな」
BBは、かぶりを振った。
「いや。僕は、あの日の思い出に還っていく。ただ、それだけです」
真白は、彼を生き永らえさせたあとも彼に脈打つ自殺願望を思った。手に余るがために、もはやどうすることもできない。
諦めが胸を占めていく。
海の方へ向き直ると、BBは背筋を正した。
「ありがとう。最後に君と話せてよかったです」
「……そんなこと言われても、あたしは何もうれしくないよ」
「……ですよね。ごめんなさい」
二人の目線が頭上の二羽の海鳥に集まる。
鳥たちは風に紛れて、弧を描くように軽やかに舞っていた。
BBもあそこに加わるような想像を真白は描いた。そして、それはBBもまたそうかもしれないと思った。
「あたしさ、多分だけど」
「はい?」
BBが少しだけ首を回して、尻目に真白を見た。
「滝川さんがこんな風に後を追うことを、沙織さんは望んでいないと思うよ」
それを聞くとBBは押し黙ったが、やがて寂しそうな笑みを浮かべた。
BBが振り返る。
「世にある全てのものは終わっていくんだけど、僕の悲しみは今、ここで終わるわけですね」
決行が迫る中、真白は彼の決断が覆ることを願ったからかもしれない。ふと口をつくようにして疑問を呈した。
「それで、天国で沙織さんと会えるのかな」
BBは、かぶりを振った。
「いや。僕は、あの日の思い出に還っていく。ただ、それだけです」
真白は、彼を生き永らえさせたあとも彼に脈打つ自殺願望を思った。手に余るがために、もはやどうすることもできない。
諦めが胸を占めていく。
海の方へ向き直ると、BBは背筋を正した。
「ありがとう。最後に君と話せてよかったです」
「……そんなこと言われても、あたしは何もうれしくないよ」
「……ですよね。ごめんなさい」
二人の目線が頭上の二羽の海鳥に集まる。
鳥たちは風に紛れて、弧を描くように軽やかに舞っていた。
BBもあそこに加わるような想像を真白は描いた。そして、それはBBもまたそうかもしれないと思った。
「あたしさ、多分だけど」
「はい?」
BBが少しだけ首を回して、尻目に真白を見た。
「滝川さんがこんな風に後を追うことを、沙織さんは望んでいないと思うよ」
それを聞くとBBは押し黙ったが、やがて寂しそうな笑みを浮かべた。