エピローグ1(4)
文字数 592文字
真白はコンビニのATMで金を下ろしてきて、そのうち五万をオレに手渡した。
そのあと、県庁所在地でもある都市部までは30分ほどの道のりだったが、彼女を車に乗せて送った。
彼女は車を降りたあと、顔だけを車内に差し入れていった。
「実は、ルイさんにちょっときつい言い方しちゃったんだ」
「で?」
「あたしが、そのことで謝ってたと言っといてもらえる?」
お安い御用だ。
「おう。言っとくよ」
「ありがと。それじゃ」
彼女はそういって白い歯を見せたかと思うと、すかさずドアを閉めて、さっさと歩いていってしまった。
サイドミラーで見ていたその華奢な背中が、一度も振り返らずビルの陰に隠れてから、オレは顎でトザキに合図した。
「もう、いいぜ。出してくれ」
車は歩道を離れて滑り出し、オレは胸ポケットに手を当てた。
タバコを咥えるとトザキが口を開いた。
「それにしても……」
「ん?」
「あんたが命の哲学を語るとは。胸が熱くなったわ」
「あ、そ」
それに対して、別に何もいうことはない。オレはマッチを擦り、火をつけた。
「こんなヤバい仕事、いつ足洗おうかと思ってたけど、やっぱ俺、あんたについてくよ」
窓から見える街並みは、すっかり陽が落ちて青く暗い闇に包まれている。
「……タハ―、よく言うぜ。ついてくも何も、本当のオレがどこにいるのか、まだ分からねえくせによ」
それでもトザキのハンドルを切る手は、陽気そのものだった。
そのあと、県庁所在地でもある都市部までは30分ほどの道のりだったが、彼女を車に乗せて送った。
彼女は車を降りたあと、顔だけを車内に差し入れていった。
「実は、ルイさんにちょっときつい言い方しちゃったんだ」
「で?」
「あたしが、そのことで謝ってたと言っといてもらえる?」
お安い御用だ。
「おう。言っとくよ」
「ありがと。それじゃ」
彼女はそういって白い歯を見せたかと思うと、すかさずドアを閉めて、さっさと歩いていってしまった。
サイドミラーで見ていたその華奢な背中が、一度も振り返らずビルの陰に隠れてから、オレは顎でトザキに合図した。
「もう、いいぜ。出してくれ」
車は歩道を離れて滑り出し、オレは胸ポケットに手を当てた。
タバコを咥えるとトザキが口を開いた。
「それにしても……」
「ん?」
「あんたが命の哲学を語るとは。胸が熱くなったわ」
「あ、そ」
それに対して、別に何もいうことはない。オレはマッチを擦り、火をつけた。
「こんなヤバい仕事、いつ足洗おうかと思ってたけど、やっぱ俺、あんたについてくよ」
窓から見える街並みは、すっかり陽が落ちて青く暗い闇に包まれている。
「……タハ―、よく言うぜ。ついてくも何も、本当のオレがどこにいるのか、まだ分からねえくせによ」
それでもトザキのハンドルを切る手は、陽気そのものだった。