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文字数 494文字
トザキは逃げ道を塞ぐように走る先行車を数台追い抜きながら、前へ前へと出ていくも、その先の信号が赤に変わった。
「おっと、赤だ」
そう独り言ちたトザキは、車を急減速させた。マーシーが、トザキの耳元で怒鳴る。
「いちいち止まんじゃねえ! マッポに追いつかれるだろーが!」
「ちっち。こいつは、F1仕様のV10エンジンなんだぜ。この車自体は元がFFだったのを、搭載エンジンの積み替えと同時にミッドシップに変更してある、外観はカモフラージュでファミリーカーだが、中身はれっきとしたサーキット向けのマシン。今日はそのテスト走行も兼ねてるから、青信号でよーいドンも試しておくわ」
「わかった、わかった! 勝手にしろい! その代わり捕まったら、今夜の飲み代、お前が全部持てよ!」
「上等!」
真白は後方の窓を覗いていたが、緊急車両のサイレンを耳にして停車した複数の一般車両が、パトカーの群れに次々と飲まれていくのが見える。
彼女は前を向くなり、シートのヘッドレストの手を掛けた。「やばい。追いつかれそう!」
トザキは半分、彼女に向けて白い歯を見せた。
「大丈夫よ。いざとなれば、こいつ、300キロは優に出るぜ」
「おっと、赤だ」
そう独り言ちたトザキは、車を急減速させた。マーシーが、トザキの耳元で怒鳴る。
「いちいち止まんじゃねえ! マッポに追いつかれるだろーが!」
「ちっち。こいつは、F1仕様のV10エンジンなんだぜ。この車自体は元がFFだったのを、搭載エンジンの積み替えと同時にミッドシップに変更してある、外観はカモフラージュでファミリーカーだが、中身はれっきとしたサーキット向けのマシン。今日はそのテスト走行も兼ねてるから、青信号でよーいドンも試しておくわ」
「わかった、わかった! 勝手にしろい! その代わり捕まったら、今夜の飲み代、お前が全部持てよ!」
「上等!」
真白は後方の窓を覗いていたが、緊急車両のサイレンを耳にして停車した複数の一般車両が、パトカーの群れに次々と飲まれていくのが見える。
彼女は前を向くなり、シートのヘッドレストの手を掛けた。「やばい。追いつかれそう!」
トザキは半分、彼女に向けて白い歯を見せた。
「大丈夫よ。いざとなれば、こいつ、300キロは優に出るぜ」