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文字数 526文字

 そう言うなり、彼はヘルメットを被り直し、両手で持ったバットの先を天井に向けて立てると、右の肘をわずかに引いた。
 ドアの外で、風が鳴っているのが聞こえる。
 やがて、彼はいった。
「プレイ!」

 金属バットが振り下ろされ、小男が慌てて飛びのいた。バットは、男の襟をかすめて空を切る。
「うぬ?」
 BBは、うめいた。
「ファウルチップでござる」
「ひゃあ、危ねえ、ちくしょー!」
 BBは、独り言ちる男にすかさず詰め寄り、バットを振り上げた。
 小男は、横っ飛びにダイニングテーブルの下に潜り込む。顎先から汗を流しながら小さく笑った。
「えへへ」

 それを見たBBは、バットを持ち直して「プッシュバント!」という掛け声と共にその先をテーブルの下に勢いよく差し入れた。
「ほげっ!」
 喉元を突かれた小柄の男がのけぞったところで、BBはテーブルの天板を蹴り上げ、躍りかかった。
 大柄の男が叫んだ。
「マッツ、逃げろ!」
 床に尻をついた小男の正面に立ったBBはバットを短く構えるやいなや、男の側頭部を右から左から立て続けに殴った。
「これぞ、マシンガン打法!」
「る、ら、ら、あ、あ、あ……あぶ!」
 小柄な男は、口から大量の血を吐き出すと昏倒した。

 BBは身を引いて、後の二人を見据えた。
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