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文字数 446文字

 翌日夕方、待機室に出向くとジャンが待っていた。

「お疲れ様です」
 真白がいつも通りのあいさつをすると、彼はうっすらと笑みを浮かべた。
「夕べは大変だったな。でも手柄だ。あの男は、脱法ドラッグの影響にあったらしい。そうなると、理性なんてぶっ飛んでしまう。ドラッグの依存性も考慮したら、君はある意味、新しい被害者が出るのを食い止めたことになるだろう。そうやって街は浄化されていくんだ」
「はあ」
 あの男が一旦救急車で病院に送られたと聞いて、快復後、再び相まみえることを彼女は恐れた。

「すみません」
「ん?」
「ちなみに、あの男はどうなったんですか」
「うむ。君があの男の脳天か首筋に入れた一発が効いたようだ。神経の一部が断裂したらしい。両手と下半身に麻痺が残り、もはや治る見込みはないそうだ」

(本当に、ただの肉の塊に?)
真白は、言葉が出て来ない。ジャンはそんな彼女を見て頷いた。

「そんな制御の利かない男の下半身なんて世間の女性たちには迷惑なだけだから、君は正当防衛の範囲で巧くやったと言わねばなるまいよ」 



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