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文字数 408文字

 そこで、つい力が抜けたのか、一気に公衆トイレに連れ込まれる。

 特有の臭気が、鼻を刺した。
 男は、コンクリートの壁と床で囲まれた一角に叩きつけるように真白の手を離した。
 彼女のトートバッグが肩から外れて転がる。
 濡れた固い床に顔をしたたかに打った真白は、一瞬意識が飛びそうになった。何とか持ち直して身体を起こす。
 そこで見たのは、男がナイフを持ちながら、空いたもう片方の手でしきりにベルトを外そうとしている姿だった。

「い、いいか?」
 男の息が異様に乱れている。
「ハッハ、ハハッハ、ハハッ……お、おれのを、な、なめるんだ」
 やがてジーパンがずり落ちた。黒いブリーフが前に大きく膨らんでいる。
「さ、さあ……」
 男は真白の髪をつかむと、自分の下半身に引き寄せた。
 汗と何かが混じり合った鼻の曲がるような異臭がして、真白はむせ返った。
 あの迷彩柄の男たちにアパートを襲われた夜の心象風景が、真白の脳裏にフラッシュバックする。

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